企業が広告を通常の商業目的のCMからACジャパン(旧・公共広告機構)の公共広告に切り替えることがあります。
この切り替えには、社会的配慮や企業の姿勢を示す重要な意図が含まれており、多くの人々の注目を集める場面でもあります。
ACジャパンの広告費ってどうなってるの?
ACジャパンの広告費の仕組みについて、疑問がある方も多いのではないでしょうか?
本記事では、ACジャパンへ広告が切り替えが行われる背景や広告費の取り扱いについて詳しく解説します。
>>ACジャパンは天下り?役員にフジテレビ幹部も?その実態を解説
ACジャパンとは?
ACジャパンは、社会問題や公益性の高いテーマを広めることを目的とした非営利団体です。
その広告は、いじめ防止、環境保護、防災啓発など、社会全体にとって重要なメッセージを発信しています。
企業が提供する広告枠を利用して制作された公共広告が放送される仕組みとなっています。
代表的な例として、2011年の東日本大震災の際、多くの企業が商業広告を自粛し、ACジャパンの公共広告を放映しました。
このような取り組みは、社会的責任を果たす姿勢として高く評価されています。
ACジャパンの広告費の仕組みは?
ACジャパンの広告費は0円
ACジャパンは、広告を通じて社会に提言を行い、住みよい市民社会の実現を目指す公益社団法人です。
その広告活動の仕組みは、一般的な広告主とは大きく異なります。
無償提供された広告枠
ACジャパンの広告は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディア会員社から無償で提供された広告枠を活用して放送・掲載されています。
このため、ACジャパン自体が広告費を直接支払うことはありません。
広告枠の換算価値
無償提供された広告枠を正規の広告料金に換算すると、その価値は非常に大きなものになります。
- 2009年度: 約797億円相当
- 2010年度: 約2,800億円相当
これらの金額は、国内の広告主の中でもトップクラスの規模に匹敵します。
広告活動の特徴
ACジャパンの広告は、企業や団体の宣伝ではなく、社会課題の提言や啓発を目的としています。放送される内容には、地域社会での支え合いや健康、環境問題など幅広いテーマが含まれています。
企業がACジャパン広告に切り替えるとは?
1. 災害や社会的配慮
大規模な災害や重大な社会的出来事が発生すると、企業は自社商品の宣伝を控えることがあります。
- 社会的な配慮を示すため:災害や事件の直後に商業広告を放映すると、不謹慎と受け止められるリスクがあります。代わりにACジャパンの広告を採用することで、社会に対する共感や責任感を示します。
- 具体例:東日本大震災後、多くの企業が自社広告を取りやめ、ACジャパンの防災啓発広告を流しました。
2. 広告枠の調整
広告活動を一時的に停止する場合でも、購入済みの広告枠を無駄にするわけにはいきません。そのため、以下の理由でACジャパンの広告が利用されることがあります。
- 空白を避ける:テレビ局などのメディアは広告枠を埋める必要があります。企業が商業広告を放映しない場合でも、公共広告を使用することで枠を有効活用します。
3. 企業の社会貢献姿勢
企業のCSR(社会的責任)活動の一環として、ACジャパンの広告を放映することがあります。
- 社会的メッセージの発信:広告枠を利用して、企業が利益よりも公共性を重視していることを示します。
- イメージ向上:社会的なテーマに協力する姿勢が、顧客や取引先からの信頼感を高めることにつながります。
ACジャパンの広告費の取り扱いパターン
広告をACジャパンの公共広告に切り替える際、企業は広告費の扱いについてさまざまな方法を取ります。
以下に主なケースを挙げます。
1. 支払い済み広告費をそのまま活用
企業が既に購入した広告枠を、そのままACジャパンの広告で埋めるケースです。
- 仕組み:広告枠自体は有効であり、企業が支払った費用は変更されません。
- ポイント:自社CMを流す代わりに公共広告を放映することで、広告枠を有効活用します。
2. 無償提供として広告枠を提供
企業が購入した広告枠を、無償でACジャパンに提供する場合もあります。
- 目的:広告活動を控える間、公共性の高いメッセージを広めることを優先します。
- 事例:大災害や社会的事件の直後など、社会的貢献を目的とした対応が多いです。
3. 広告費の返還や調整
特定の事情で広告を中止した場合、契約内容に応じて広告費の一部が返還されることもあります。
- 具体例:テレビ局が緊急性の高い公共広告に切り替える場合、企業とメディア間で広告費の繰り越しや返還が協議されることがあります。
4. ACジャパンへの寄付として扱う
企業が広告費を寄付金として処理し、ACジャパンの活動を支援する形もあります。
- メリット:寄付金控除が適用される可能性があり、企業の社会貢献としての意義が強調されます。
まとめ
企業がACジャパンの広告に切り替える背景には、以下のような要因があります:
- 災害や社会的な出来事への配慮
- 広告枠の有効活用
- 企業の社会貢献姿勢
広告費の取り扱いについては、支払い済みの広告枠をそのまま利用する場合や、無償提供・寄付として活用する場合があります。これらの対応は、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として見なされ、顧客や社会からの信頼を高める効果が期待されます。
企業がACジャパン広告に切り替える決断は、社会全体にとっても企業自身にとっても大きな意味を持つ行動です。公共広告を通じて、企業の誠実さや社会的責任を示す取り組みは、今後も注目されるでしょう。
こちらも読まれています
>>ACジャパンは天下り?役員にフジテレビ幹部も?その実態を解説